
文化祭とは生徒が主体となり、学校や大学の敷地を使って出店など開く行事のこと。文化祭ライブはその催し物の一種で、生徒同士でユニットやバンドを結成し、楽器演奏を披露するイベントです。大学になるとプロのミュージシャンを招いてゲスト出演させることがありますが、基本的にはアマチュア・ミュージシャンの集会です。主な観客は学生やその家族であり、出演者に対して高い演奏技術を求めることはまれです。しかし、身内であってもお客様ですから、アマチュアであっても観客を満足をさせるのはミュージシャンの務めでしょう。
もちろん、中には「観客なんて知らん! 俺は俺のやりたい音楽をやる!」という考えを持っている方もいらっしゃいます。否定はしません。5曲演奏する内の1曲くらいはそういう曲があってもいいでしょう。ただ、100パーセント観客を無視したパフォーマンスは長続きしません。パフォーマンスとは、観客の存在があってこそ成り立つものだからです。今後も長く演奏活動をしたいのであれば、ニーズを把握し、そぐわないものは削いでいかねばならないでしょう。
文化祭ライブは学内のイベントであるため、主な客層は10代から20代前半の若い学生です。これを踏まえて、文化祭ライブで演奏すべきでない楽曲を考察してみました。
1. バラード曲
単純に、テンポの遅い曲は盛り上がりません。観客はしんみりしたいわけでもなければ、感動したいわけでもありません。ムーディな音楽に合わせ、若い男女が手を取って踊るのは30年前のハリウッド映画の世界だけだと思っておきましょう。
2. マイナーな曲
生き物は、未知に遭遇すると警戒する本能が備わっています。人間も例外ではありません。自分の知らない曲が流れて「いい音楽だ」と感じる人はまれであり、大半は「なにこれ?」という疑念に駆られます。

3. 演奏できない曲
端的に言うと、下手な演奏をすべきではありません。それは音楽というより雑音、ノイズになってしまうからです。工事現場を通るたびにダンスするような若者は存在しないでしょう。汽車の音や工場のプレス音で盛り上がるのはビョークだけです。
4. 他のバンドと重複している曲
これも単純に、同じ曲が続いたら盛り上がらない、という理屈です。どんなに良い曲で良い演奏だったとしても、観客は「またかよ」と思うでしょう。「飽き」ほど気分を萎えさせるものはありません。事前に打ち合わせをしっかりしておかなければなりませんし、自分たちだけのステージではないのですから、多少の譲り合いは受け入れるべきでしょう。
5. 下品な曲
これは、モラルの問題です。いくら盛り上がるからといって、公の場でわいせつな表現や差別的な内容を露骨に歌うべきではありません。下品の程度がわからない場合は主催者へ確認すべきですし、「大丈夫かな」と疑問を持った時点でアウトと思って良いでしょう。
節度を守って楽しい文化祭にしましょう。なお、これらの原則は文化祭ライブだけでなく、あらゆるライブに適用できます。他人事だと思って笑っていた大人たちは、注意が必要でしょう。