リズムだけで音楽は成立するのか

Pocket

一般的に音楽とは、メロディ(旋律)、ハーモニー(和声)、リズム(律動)の3種から成る時間芸術で、初めにリズムがあり、次いでメロディが生まれ、それからハーモニーが派生したとされている。古い歴史があり、どの音楽学校でも「リズムが最も重要だ」と教えられているためか、「リズムだけでも音楽は成立する」と考えている人が多い。しかし、果たして本当にそうなんだろうか。櫻井は「リズムだけで音楽は成立しない」と考えている。

まずリズムとは、「音の時間的進行の構造」のことである。つまり、音の始まりと終わりがあれば、音の長短(速度)に関わらず、リズムが発生する。それゆえ、音そのものであるメロディ及びハーモニーが、リズムなしに存在することはあり得ない。学校で「リズムが重要だ」と教えているのはこのためだ。要するに、「リズム抜きで音楽は成立しない」ということである。

では本題の、「リズムだけで音楽が成立しない」理由について。櫻井は、リズムは「音の時間的進行の構造」という音楽的要素以前に、「周期的に反復・循環する動き」という運動的要素の面の方が強いと考えている。「生活リズム」という言葉もあるように、音が発生しなくてもリズムは存在する。朝が来て夜が来る、これもリズムだ。音はリズムなしには存在し得ないが、リズムは音なしでも存在し得る、ゆえに運動的要素のが強い、という訳だ。

「じゃあドラム・ソロは音楽じゃないって言うのか!」とお叱りを受けそうだけれど、極端な話、その通りである。櫻井はドラム・ソロは音楽的パフォーマンスというより、運動的パフォーマンスだと思っている。どちらかと言えば、ダンスに近い。多くの場合、ダンスは音楽に付随するものだけれど、ダンスそのものは音楽には含まれない、と櫻井は思う。

ただ、「極端な話」と書いたように、例外はある。それは、「メロディックなリズム」の存在である。メロディックなリズムとは、「比較的単純なリズムの繰り返し」と考えて良い。恐らく、世界で最もメロディックなリズムは、ターミネーターの「デデン・デン・デデン」だろう。しかし、ターミネーターを知らない人が純粋に「デデン・デン・デデン」だけ聞いて「音楽だ」と感じるかどうか怪しいところだ。また、何によって音を奏でているか、道具の問題もあるだろう。「OIL OIL OILでターミネーターになる」という動画がYouTubeにあるけれど、あれは音楽ではない、と櫻井は思う(爆笑したけど)。

「リズムだけでは音楽は成立しない」というのが櫻井の考えだけれど、これは個人差の問題である、とも思う。たとえば、映画「Dancer in the Dark」でビョークが演じているセルマは、工場の機械の音が「Cvalda」、汽車の揺れる音が「I’ve seen it all」に聞こえている。これはフィクションの話だけれど、似たような感性を持っている人は「リズムだけでも音楽は成立する」と考えているだろう。櫻井の場合、どちらの曲もビョークが歌い出してから、つまり、メロディが加わってからが音楽だと思っている。そもそも「メロディック(旋律的)な」という言葉を使っている時点で、音楽がメロディありきの芸術であることをほのめかしている、と思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA