褒められて怒る子

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講師の研修資料や教育関係の本を読んでいると、「生徒を褒めてあげましょう」といった内容が必ず出てくる。生徒は褒められることで自信がつき、その後の成長に好影響をもたらす、ということらしい。どの資料にも必ずこのようなことを書いているので、大多数の人はそうなのだろう。ただ櫻井の経験では、褒めて伸びるのはせいぜい小学生までだと思う。それ以降は、褒められると、「ああ、こいつに褒められるってことは自分は見下されているんだな」と、むしろ腹を立てることが多かった。それが次第に「この人に褒められているようじゃ、自分はまだまだだな」と変化し、大学でアンサンブル指導を始めたころ、つまり「褒める立場」を経験し始めたころ辺りから、「褒められても気にしなくていいんだ」と思うようになった。いずれにせよ、褒められたことが直接励みになったり、自信になった経験は少ない。

そもそも中学生にもなれば、自分がどういう人間で、演奏に関してどの程度なのか、客観的に判断できるようになってくる年頃である。そんな時期に「上手いね」なんて言われても(たとえそれが具体的なポイントだったとしても)、「馬鹿にしてんのか」と思うのは至極当然のことだろう。子どもはそんなに馬鹿じゃない。

では、どうすれば良いか。ビジネスの話を抜きにすれば、やはり「自分の生き様を教える」のが最も効果的なのでは、と思う。例えば、櫻井の最初の先生は、「自分はこうやってきて、今こうなっている」という「道」をハッキリ見せてくれた人だった。音作りやら何やら、とにかくもう色々反発したけれど、反発したことで自分の進みたい道を見つけられたし、良いなと思って憧れた点はしっかりと影響されている。

ちなみに、講師研修にて「小さいお子様には敬語は使わず、フランクな話し方をしましょう」と教わったけれど、櫻井は小学校低学年くらいまで「初対面で敬語(ていねいなことば)を使ってこない大人は失礼な奴だ」と思っていた。それも年が経つにつれ、「ああいう大人にならないように、自分はしっかり敬語を使えるようになろう」と反面教師にするようになったので、講師業で小さいお子様を相手にする立場になった時、また変化するだろう。ただ、今現在、接客業をしている時は、どんなに小さいお子様でも敬語で接している。櫻井みたいな子は少ないのかもしれないけれど、これが櫻井の生き様だからである。

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