バラエティ番組で芸能人が、スイーツを食べて「甘くなくて美味しい」とコメントをしていたことがあります。妻はそれを見て、「スイーツは甘いからスイーツなのではないか。甘くないとはいかがなものか。なぜ素直に甘いと感想を言えないのか!」と金髪になって怒っていらっしゃいました。僕は芸能人でもなければ放送作家でもないので、この手の不満や愚痴は独り言なのだ、と心得ています。
「甘くない」がスイーツの褒め言葉になっているのは、その背後に「甘さ控えめ」という言葉があるせいでしょう。どんどん控えていったらなくなった、という道理です。「甘さ控えめ」が褒め言葉になるのは、糖分を抑えている証拠になるからです。「スイーツなのに、健康を損なわない」というイメージを植えつけているわけです。
こうしてみると「甘くない」「甘さ控えめ」は、スイーツを評価した言葉というより健康意識のアピールに思えます。誤解を恐れず、少々誇張して、しかし端的に説明すると「食べても太らないスイーツを食べる私は可愛い」です。健康意識が高い人はそもそもスイーツなんて食べないと思うのですが、いかがでしょうか。
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逆に、肉や野菜は「甘い」が褒め言葉になるようです。「溶ける」という表現もよく使われます。一見して甘くないもの、溶けそうにないものを「甘い」「溶ける」と評価するきらいがあるのです。つまり、どんな食べ物も適当に反対のことを言っておけば高評価になる、ということです。ラーメンだったら「さっぱりしている」、カレーだったら「辛くない」。ほら、それっぽくなったでしょ?