なぜボーカリストはテレキャスターを選ぶのか

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テレキャスターとは、ギターメーカーのフェンダーが作るギターの一種、あるいは、それを模した他社のギターのことを指します。厳密には、「テレキャスター」はフェンダーのギターで、それを模したモデルは「テレキャスター・モデル」という名称になります(シャンパンとスパークリングワインみたいなものです)。本記事ではどちらも「テレキャスター」で統一させていただきます。ひとくちにテレキャスターと言っても、さまざまな種類がありますが、基本的に以下の構造を持ったギターのことを指します。

1.シングルカッタウェイ(ボディの形状が左右非対称
2.ソリッドボディ(単板で作られた非空洞ボディ
3.ボルトオンネック(ボディとネックをボルトで固定するタイプ
4.2ピックアップ(弦の振動を拾う装置=ピックアップの数が2つ
5.1ボリューム1トーン(音量と高域を調節するノブが1つずつ
6.トレモロ・アーム非搭載(音のピッチを変化させる装置なし)

上記の構造に当てはまらない、ホロウ・ボディ(ボディ内部が空洞)や、2ボリューム2トーン、トレモロ・アーム搭載のテレキャスターもあります。そういえば、ダブル・カッタウェイのテレキャスターは見たことがありません。気になったので検索してみると、今年のNAMMショーで「ダブル・カッタウェイ・テレキャスター」なるものがフェンダーから発表されていました。

閑話休題、以上の構造により、テレキャスターには「軽い」「シンプルな操作性」「特徴的な高域」といった特徴が挙げられます。これが、そのまま「ボーカリストがテレキャスターを選ぶ理由」になるのではないか、と考えました。1つずつ考察していきましょう。

○軽い

ボーカリストのメインは、です。重いギターは、それだけで体力を消耗するので、ボーカリストには不向きと言えます。たとえば、重いギターの代名詞「レスポール」でボーカルギターしている人は、「レスポール・スペシャル(マホガニー単板で、比較的軽いモデル)」を使っているか、途中で持ち替えています。レニー・クラヴィッツくらい筋肉むきむきにならないと、重いギターを持ちながら歌うのは難しいでしょう(そのレニーですら、途中でフライングVに持ち替えています)。

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○シンプルな操作性

上記の「軽い」という理由だけでは、同じフェンダーの「ストラトキャスター(あるいは、他社のストラトキャスター・モデル)」の方が、ダブル・カッタウェイな上にコンター加工(ボディを滑らかに削る加工)してある分、テレキャスターよりも軽いので、ボーカリストに向いていることになります。ところが、ストラトキャスターの標準装備は、3ピックアップ、1ボリューム2トーン、トレモロ・アーム搭載と、テレキャスターに比べると複雑で、オプションが多いのです。繰り返しになりますが、ボーカリストのメインは、歌です。「ギターの調整、調節に時間を取られたくない」と考えている人が、シンプルなテレキャスターを選ぶのは、至極自然なことでしょう。

○特徴的な高音域

非常に抽象的な表現ですが、テレキャスターといって思い浮かべるのは、「ギュイーン」よりは「キューン」ですし、「ジャカジャカ」よりは「チャキチャキ」です。これは、テレキャスターに搭載されているのが「シングル・コイル」という高域中心のピックアップであり、かつ、主に使われるのがリア側(弦を固定している側。硬質な音色)である、などが原因に挙げられます。これがどう影響するかというと、「ボーカルの声とギターの音がぶつかりにくい」という現象が起こります。ボーカリストにとって、弾きやすい上に歌いやすいギターがテレキャスターというわけです。

もっともらしい理由を並べてみましたが、「好きなアーティストが使っているから」というのが最大の動機かもしれません。


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