なぜボーカリストはテレキャスターを選ぶのか

Pocket

IMG_2086[1]

テレキャスターとは、フェンダー社が作るギターの一種、あるいは、それを模した他社のギターのこと。厳密には、テレキャスターはフェンダー社のギターで、それを模したモデルは「テレキャスター・モデル」という名称になる(シャンパンとスパークリングワインみたいなものだ)けれど、当ブログではどちらも「テレキャスター」で統一させて頂く。一口にテレキャスターと言っても色んな種類があるが、基本的には以下の構造を持ったギターのことを指す。

1. シングルカッタウェイ(ボディの形状が左右非対称)
2. ソリッドボディ(単板で作られた非空洞ボディ)
3. ボルトオンネック(ボディとネックをボルトで固定するタイプ)
4. 2ピックアップ(弦の振動を拾う装置=ピックアップの数が2つ)
5. 1ボリューム1トーン(音量と高域を調節するノブが1つずつ)
6. トレモロ・アーム非搭載(音のピッチを変化させる装置なし)

以上。ホロウ・ボディ(ボディ内部が空洞)や2ボリューム2トーン、トレモロ・アーム搭載のテレキャスターもある。そういえばダブル・カッタウェイのテレキャスターは見たことがないな、と思って検索してみると、今年のNAMMショーで「ダブル・カッタウェイ・テレキャスター」なるものがフェンダー社から発表されたらしい。興味のある人はチェックしてみよう。

つい脱線してしまった。以上の構造から、テレキャスターには「軽い」「シンプルな操作性」「特徴的な高域」といった特徴が挙げられる。これがそのまま「ボーカリストがテレキャスターを選ぶ理由」になるのではないか、と考えた。1つずつ考察していこう。

○軽い

当たり前の話だけれど、ボーカリストのメインは歌である。重いギターはそれだけで体力を消耗するので、ボーカリストには不向きなのではないか。たとえば、重いギターの代名詞「レスポール」でボーカルギターしている人は、大抵「レスポール・スペシャル(マホガニー単板で、比較的軽いモデル)」を使っているか、途中で持ち替えている。レニー・クラヴィッツくらい筋肉むきむきにならないと重いギターを持ちながら歌うのは難しいことなのだろう(レニーだってフライングVに持ち替えている)。

○シンプルな操作性

上記の「軽い」という理由だけでは、たとえば同じフェンダー社の「ストラトキャスター(あるいは、他社のストラトキャスターモデル)」の方がダブル・カッタウェイの上にコンター加工(ボディを滑らかに削る加工)してある分、テレキャスターよりも軽い。ただ、ストラトキャスターの標準装備は3ピックアップ、1ボリューム2トーン、トレモロ・アーム搭載と、テレキャスターに比べるとやや複雑というか、オプションが多い。繰り返すが、ボーカリストのメインは歌であって、「ギターの調整・調節に時間を取られたくない」と考えている人がシンプルなテレキャスターを選ぶのは、至極自然なことであると思われる。

○特徴的な高音域

非常に抽象的な表現だけれど、テレキャスターと言って思い浮かべるのは「ギュイーン」よりは「キューン」だし、「ジャカジャカ」よりは「チャキチャキ」である。大きな原因としては、テレキャスターに搭載されているのが「シングル・コイル」という高域中心のピックアップであり、かつ主として使われるのがリア側(弦を固定している側。硬質な音色)である、などが考えられる。これがどう影響するかと言うと、「ボーカルの声とギターの音がぶつかりにくい」という現象が起こる。ボーカリストにとっては弾きやすい上に歌いやすいギターがテレキャスターなのでは、ということである。

考察は以上である。もっともらしい理由を並べてみたが、「好きなアーティストが使っているから」というのが最大の動機なのでは、と思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA