相棒

もともとは、かごを持ちあげて運ぶ際に使う棒のことで、棒の両端を2人1組で持つことから転じて、共同で作業する味方側の人間のことを指します。「仲間」とほぼ同義ですが、「相棒」は普通、2名以上の協力者には用いられません。互いが相棒同士と認め合っていれば、この関係は成り立ちます。周囲から同様の評価を得ていると、「名コンビ」と銘打たれます。単なる2人組に留まらず、そのコンビ独特の特別性を持っている場合がほとんどです。

「同じタイプの2人組」よりも、「互いが互いを補い合える関係」であればあるほど、名コンビに近づける傾向があります。たとえば、一方が真面目な頭脳派のメガネのおっさんの場合、もう一方が考えるより先に行動するタイプだったり、一見して不真面目そうな茶髪の青年だったりした方が、名コンビになりやすいわけです。

人だけでなく、道具に対しても「相棒」という言葉が用いられます。これは、その人がその人たるのに、もはや必要不可欠となった、「トレードマーク」のようなものです。ミュージシャンだと、ギタリストに多く見られます。事実、僕の周囲には、自分のギターに名前をつけているギタリストが何人かいます。昔、一緒にバンドをやっていたボーカリストのギターは、「アレック」という名前でした(シリアルが「006」だったため)。何を隠そう、僕も、自分のアコースティック・ギターに「クリシェ」という名前をつけています。相棒というか、ペットです。休日になると、「弾いて!」と、猫なで声で甘えてくる、という想像をしています。



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ドラムをやっていると、特に、ベーシストとの相性が問われます。ポピュラー音楽の「グルーブ(ノリ)」は、すべてベースとドラムに担われているといっても過言ではない、と言われています。僕と一番長い期間コンビを組んでいたベーシストは、「同じことをループして弾いてらんない」というタイプでした。そのため、縦にも横にも動く、荒唐無稽なベース・ラインを奏でていました。当時の僕は、「できることしかやらない」と、最低必要限の音数で、「100回ステージに立ったら、100回全部同じ演奏する」というような、朴念仁みたいなドラムを叩くタイプでした。ベーシストの彼とは、まるで正反対でした。しかし、相性は、最高に良かったと思います。だからこそ、長く続いたのです。

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