弱い犬ほどよく練習する

SNS上で、「まだまだ練習が足らない」「今日は〇〇を××時間練習した」といった、「練習に関する投稿」をしているミュージシャンをよく目にします。どういった意図があってそういう投稿をするのか、理由はわかりませんが、もし「練習は格好良いこと、誇らしいこと」という思惑があるなら、注意が必要です。「練習する」というのは、格好悪いことであり、恥ずべきことだからです。

そもそも、練習とは、「できないことをできるように訓練すること」です。つまり、「練習が必要だ」と言うのは、「できないことがあります」と、自分の未熟さを言い表していることと同義です。謙遜な姿勢は評価されるべき点かもしれませんが、「練習する」というのが劣っている者の行為であることは、間違いありません。

僕は、教師からも生徒からも「お前はよく練習している」と、よく言われています。言っている当人は、褒め言葉のつもりで言っているのかもしれません。しかし、正直、どう反応すればいいかわかりません。たしかに僕は、大学の中で最も長い時間、集中して練習している生徒かもしれません。それはつまり、大学の中で最も劣った生徒である、ということなのです。「練習が好きなんだね」と言われることもありますが、練習しないでいいのなら、どれほど素晴らしいことでしょう



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練習が楽しい」と思っている人も、お気をつけください。楽しいと思った時点で、それは練習でなくなっている可能性があります。自分の未熟さと対面するわけですから、恥ずかしいとか、イライラする、呆れる、退屈といった、ネガティブな感情が起こるのが普通です。これは、個人に限らず、バンド、アンサンブル練習にも共通します。「楽しむな」という意味ではありません。適度に楽しむことは大事です。ただ、その間は上達しない、ということです。

練習したかどうかは重要ではありません。できるかできないか、それが問題です。

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