定員の80%未満しか客席が埋まらなかったらどうなるか

店によって多少システムは異なりますが、日本のライブハウスでは出演する際にチケットノルマを課せられるのが一般的です。たとえば、チケットノルマが2,000円×20枚の場合、40,000円分の集客が必要になります。この「40,000円分」というのがポイントで、必ずしもチケットを2,000円で売る必要はありません。1,000円に値下げして枚数を40枚にしたり、2,500円に値上げして16枚にしたりすることができるのです。

稼ぎきれなかった分の差額は出演者の負担となります。いわゆる赤字の状態です。逆に、チケットノルマ以上の稼ぎを出せば差額は出演者に還元され、黒字となります。これがチャージバックです。ただ、店によって「チャージバック率」というのが設定されており、チャージバック率が100%なら差額は全て出演者に還元されますが、80%だったり90%だったりすると差額の10〜20%は店の取り分となります。前述の例の場合、2,000円のチケットを30枚売れば差額は20,000円ですが、チャージバックが80%だと出演者に還元されるのは16,000円となります。

このようなノルマが課せられている状態で、集客がライブハウスの定員の80%に満たなかった場合どうなるでしょうか。結論を先に書くと、出演者は大儲けです。ライブハウスにもよりますが、普通チケットノルマは定員の1割ほどの人数で設定されています。チケットノルマが20枚なら、定員は200人以上と思って良いでしょう。定員200人の80%は160人、うち20人がチケットノルマで、残りの140人が稼ぎとなります。チャージバック率が100%なら、2,000円×140人で28万円の儲けです。チャージバック率が80%でも22万円以上稼げます。



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たとえライブが天災によって中止になったとしても、被害はチケットノルマ分だけです。これくらい儲けを見据えて動くのがプロのパフォーマーです。大御所にもなればライブハウスの規模は大きくなりますし、ライブ演奏の映像化や音源化、物販などのサイド・ビジネスも発展します。「会場が満席じゃなかったから」とライブをドタキャンするのは切羽詰まっているからではなく、むしろ余裕がある証拠なのです。一部の人には良い広告となったでしょう。もちろん、マイナスの広告にもなったと思いますが。

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