モニター・スピーカーの音量【前編】

ホールやライブハウスなど、会場が広かったり音量が大きかったりする環境で演奏する場合、楽器の音はマイクを使って集音され、バランスを整えた上でスピーカーに出力されます。この時、スピーカーは観客に向けられているため、ステージにいるミュージシャンは集音された音を聞くことができません。ミュージシャンが周りの音を正確に把握するためには、ステージ側にもスピーカーを設置する必要があるわけです。このスピーカーを「モニター・スピーカー(以下、モニター)」といいます。

モニターの音量を調節できる小型のミキサーがミュージシャンの近くに設置される環境もありますが、大抵の場合、モニターの音量を調節するのはPAと呼ばれる音響担当です。ミュージシャンは、欲しい音をPAに頼んでモニターに出力してもらいます。ただ、場所によってモニターの音が客席に影響したり、他のミュージシャンの演奏を阻害したりすることもあるので、好き勝手に調節できるわけではありません。

ギタリスト(エレキギター)やドラマーによくある失敗が、「とりあえず全部(の楽器の音)が欲しい」です。自分の音が大きくて周りの音が聞けていないのを、「モニターの音が小さい」と勘違いしてしまうのです。

ボーカリストに多い失敗は「もっと自分の音(声)が欲しい」です。ボーカリストはモニターなしでは自分の音を聞くことができないため、自分の音を欲しがるのは至極当然です。問題なのは、ボーカルの音を上げるべき環境なのかどうかを判別せず、一方的に欲求している場合です。



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たとえば、「ピッチを取りやすくするため」という理由でピアノの音を大きく出しているボーカリストがいますが、ピアノがよく使う音域とボーカルの音域は非常に近いため、過度にピアノの音を出していれば、かえってボーカルの音を聞こえ辛くさせてしまいます。また、スピーカーの向きや立ち位置によって、モニターの聞こえ方は大きく変わります。

では、どういった点に注意してモニターを調節してもらえば良いのでしょうか。次回へ続きます。

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