ミュージシャンと楽器と音楽の関係

昔、バンドのギタリストが、ギターを買おうとしていた時のこと。買うならレスポール、というのは決まっていたのですが、ひとえにレスポールと言っても、様々な種類があります。結局、「見た目が良いやつにしよう」ということで、ギター雑誌をめくりました。すると、抜きん出て格好良い、1本のレスポールがあったのです。「これしかない!」、そう思った彼は、値段を見ました。「うわ、2,000,000(200万)かよ! いくらなんでもこりゃ無理だわ」。落胆する彼に、ボーカリストは言いました。「よく見ろ。200,000,000(2億)だ」。

というわけで、今回は楽器の話です。ミュージシャンがミュージシャンたるのは、楽器のおかげです。楽器を使わないミュージシャンは存在しません。ゆえに、楽器がなければ、ミュージシャンは存在しないと言えます。普通の人からすれば、「楽器に何十万も払うなんて、どうかしている」と思うかもしれませんが、楽器は、ミュージシャンの存在を証明するものであり、そこに重きを置くのは至極、当然のことなのです。

しかし、楽器の存在以上に大切なことがあります。それは、「なぜミュージシャンは存在するのか」です。当然、音楽を創るためです。誰でもわかる当たり前のことですが、実は、ミュージシャン自身が理解していないことが多くあります。一番よくあるのは、「あの楽器がないと、この音楽はできない」と、音楽ができない理由を楽器の責任にするケースです。楽器は、ミュージシャンの存在証明であって、ミュージシャンそのものではありません。楽器だけで音楽は創れないことからわかるように、「音楽を創る」という点においては、ミュージシャンが全責任を負わなければなりません



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僕が専門学校で教わったことの中で、特に心に残っているのが、ドラムの先生に「セッティング中に音を出すな」と注意されたことです。ドラムセットに座った瞬間からミュージシャンの責務は始まっており、無駄な音、安い音は絶対に出すな、と何度も厳しく言われました。まったくもって、その通りだと思います。音を出す、音楽を創るというのは、ミュージシャンの最大の特権であり、最大の責任なのです。それを楽器に責任転嫁してはいけません。

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