ミスすると笑ってしまうのはなぜか

10歳未満の生徒様には「ミスすると講師や同席している保護者を見る」という傾向があります。たまたま視界に入っているだけかと思いきや、身体をねじって積極的に顔を向けるのです。はじめはわざとやっているのかと思いましたが、どうやら自然とそうなってしまうそうです。ミステリー作品でよくある、衝動的犯行に手を染めた犯人が辺りを見渡す姿に似ていますが、後ろめたさがあるわけではなさそうです。事実、大抵の生徒様は笑顔を浮かべています。

大人の生徒様も、ミスした時は笑顔になる人が多いです。笑って誤魔化しているわけではなく、これも自然に発生しまうようです。僕も、ミスした直後は反射的に笑ってしまいます。ミスした自分を滑稽に思っているわけではないですし、ミスしたフレーズが突飛で笑えるというわけでもありません。もしそうなら、自分1人で練習しているときだって笑ってしまうはずです。つまり、ミスした時に笑うのは、他人の存在を意識した動作であることがわかります。

本来ミスとは笑って済まされることではないのですが、人は自分の犯した失敗によって生じた緊張を和らげるために笑うことがあります。いわゆる「照れ笑い」です。身を守るための本能的防衛であって、ふざけているわけではありません。もしもミスをミスと思わず、相手になんら迷惑をかけていないと考えているなら、ミスしても緊張しないゆえに笑わないでしょう。罪を罪として認めないと赦されないように、ミスの自覚がなければミスを直すことはできません。ミスをして笑うのはミスを自覚していることなので、むしろ良い兆候なのです。



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ミスをしても笑えないのは防衛が働いていない状態であり、身にかかる負担も大きくなります。ミスをして笑ったことに対し、「何がおかしい」「真面目にやりなさい」と叱ってしまうと、生徒様は極度のストレスにさらされることになります。ストレスは悪いものではありませんが、ずっと続くとモチベーションが下がりますし、最悪心の傷になりかねません。表向きは笑っていても、心の中ではミスを悔やんでいるのですから、追い打ちをかけるのではなく、一緒になって笑い、励ましてあげるくらいがちょうど良いのではないでしょうか。

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