楽器上達の真理

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とある音楽講師のブログに「楽器を習い始めて最初の半年は、『自分は上手い』と本気で感じるのが大切」といったことが書いてあるのを目にした。この部分だけ読むと「何を馬鹿なことを」と思ってしまうが、よく読めば「この先生なりにしっかりとした考えがあるのだな」という面が見えて面白い。ただ、よく読まないで勘違いする、というかプラスにならない考え方をしてしまう人も多いだろうな、とも思った。

まず、「自分は上手い」と本気で感じている人は、誰かに教えを乞うような真似はしない。上手いのだから、教えてもらう必要がないのだ。よく「自分には才能があるか、ないか」と気にする人がいるけれど、「誰かに教えてもらおうかな」「レッスンに行こうかな」という発想を持った時点で、「少なくとも自分は天才ではない」という自覚を持った方がいいし、「どちらかといえば下手」くらい思っても差し支えない。下手を克服して上達したいから誰かに習い始めるわけなのだし、その状態で「自分を上手い」と思いこもうとするのは精神的に不健康といえる。

かといって、「自分はどうしようもないのだ」と極端に落ち込むのも精神的に不健康である。冒頭で紹介した先生も「自分は下手だ、と考え過ぎるな」という意味で「自分は上手い、と感じろ」という内容のブログを書いたのでは、と思う。というのも、初心者に限らず、多くのミュージシャンが「自分は下手だ」という理由で楽器をやめているのである。「プロのミュージシャンになるのは難しい」とよく言われるのも、「自分は下手だからプロにはなれない」と諦める数が圧倒的に多いからだ。実際になってみればわかるけれど、多少下手でもプロにはなれる。大学を卒業してちゃんとした企業に就職するよりも難易度は低いだろう。

楽器の上達には個人差がある。あっという間に上手くなる人もいれば、本当に成長しているのかと不安になるくらい、ゆるやかに上達する人もいる。大事なのは、どちらも「続けていれば必ず上達し、退化することはない」という点だ。これこそが、フォーカスすべきポイントである。すなわち、「1日5分なら毎日続けられる」といった具合に、「どのくらいのペースなら楽器を続けられるか」を考えるのだ。毎日が難しいなら週1回でも月1回でもいい。自分にできる「やめないで続ける方法」を見つけるのだ。上手い下手ではなく、続けている期間に目を留めよう。そうすれば、自分がどのくらいの時間でどれくらい成長できるかが見えてくるだろう。

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