時間どろぼう

ミヒャエル・エンデの童話『モモ』に出てくる登場人物。原作も読み、映画も見ましたが、どういったキャラクターだったか、あまり覚えていません。というのも、僕が中学生のころに学校行事でこの本を原作にした演劇をしたことがあり、その印象が強烈に残っているせいでオリジナルのイメージが薄れているのです。その演劇で僕が演じた役が、「時間どろぼう」だったのです。よって、以降の内容は、必ずしも原作にのっとったものではないことを注釈しておきます。

時間どろぼうは悪役です。どんな悪いことをするかと言えば、名の通り「人の時間を盗む」のです。盗むといっても強引に奪うのではなく、言葉巧みにそそのかすのです。たとえば、とある床屋の店主には、

「あなたはまず、仕事中のおしゃべりをやめることができる。あなたが1日にお客さんと話している時間を30分節約すれば、1年で10,950分、20年で13,140,000秒も貯められる上に、利息が上積みされるのです。それから、朝晩に介護している母親を老人ホームへ預ければもっと時間を貯められる。いいですか、今すぐに時間を貯蓄しないと、あなたはどんどん損をしていくのです」



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このようにして人の時間を集め、時間どろぼうは自身の「時間銀行」に貯蓄していくのです。時間どろぼうに時間を騙し盗られた人たちは黙々と仕事をし、コミュニケーションも取らず、ひたすらに時間を節約し始めます。心に余裕なく生きているところへ主人公のモモがやってきて「なんのために生きているの?」と問いかける、というのがあらすじです。

なんて格好良い悪役なのだ、と思いました。手法が知的というか、理に適っている、と感じたのです。時間を集めている目的もあり(物語終盤で明かされる)、台詞の1つ1つに信念が見える、素晴らしいキャラクターでした。やっているのは詐欺で悪いことのため、結果として時間どろぼうは間違っているわけですが、強い意志を持っている人は大変魅力的です。

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