
こないだYouTubeで、高校の頃に聞いていた邦楽バンドのライブ映像を見ていた時のことです。ミスチルの『Not Found』だったり、スピッツの『冷たい頬』などは、最近のライブでも演奏されているようでした。どちらの曲も、リリースされたのは15年ほど前です。多少アレンジしているとはいえ両バンド共に、15年もの間ずっと同じ曲を演奏していることになります。
僕が初めてバンドで作曲したのはドラムを始めて半年ちょっとの頃で、10年くらい前のことです。作った当時は「良い曲ができた!」とウハウハだったのですが、今となっては恥ずかしくて聞けないくらい稚拙な曲でした。ちなみにジャンルはパンクです。オープン・コードをストラトのクリーントーンでじゃかじゃかやってあたりが一番パンクだったと思います。
そんな自分の体験と比べるのは、はなはだおこがましいことですが、自分が10年以上前に作った曲を当時のエネルギーを維持したまま演奏し続けるなんて、正気の沙汰ではないと思ったのです。途中で飽きるだろ、と。ストーンズなんてもう半世紀近く『Jumpin’ Jack Flash』をやっていますし、そらドラッグに手を出したくもなるわ、と。

正気の沙汰ではない、とは言いましたが、これは非難ではなく、むしろ敬服です(ドラッグはどうかと思いますけれど……)。最近、演奏していて感じるのは、いくら実力をつけたとしても、最終的に良い演奏ができるかどうかは心の在り様によって決まるということです。その点、すごい人は常軌を逸して「音楽愛」を持っているんだな、と思います。
ただ、同じ曲をずっと演奏し続けることだけが音楽愛ではありません。新しい音楽を日々創り続けるのも音楽愛ですし、広い話、ライブの音響や照明、販売や広告など、音楽に関するものすべてに音楽愛は関係しているのです。共通して言えるのは「音楽を愛し続けている」ということです。愛とはすなわち、忍耐です。