引きこもりは疲れを知らないのか

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櫻井は出不精である。家の中どころか、部屋の外ですら出歩きたくない、と思っている。動きたくないのだ。迷わずエスカレーターに乗るし、徒歩2分のスーパーへ行く時も自転車を使う。電子図書館を駆使し、図書とギターに囲まれて自室から一歩も出ない老後を夢見ている。自分のアバターを作ってネットワーク上にのみ存在するゴーストみたいになれたら暮らしやすいのに、とさえ思う。レッスンも仮想空間で行なうわけだ。そうすれば通勤時間もなくなる。技術の進歩が待ち遠しい。

そんな櫻井ですら、疲れを感じることがある。曲をコピーしたり、譜面などの教材を制作したりしている時だ。パソコンの前に座っているだけなのに、なぜかため息が出る。気分転換が必要なのか、と本を読んだり、動画を読んだりしても治らない。糖分が足りないのかと思って甘いものを食べると、かえって気持ち悪くなる。熱もなければ、せきも出ない。風邪を引いているわけでもないのに、体調が悪く感じるのだ。

櫻井はこの現象を「仮病」だと思っていた。疲れるような運動を避けているのに、身体が勝手に疲れていると錯覚しているのだ、と。しかし錯覚とはいえ、パフォーマンスが落ちるのは問題である。特に、趣味が楽しめないのは精神的に参ってしまう。

そんなことを友人に話したら「それは頭脳疲労だ」と指摘された。手足ではなく、脳の使い過ぎだと言う。言われてみればたしかに、楽器の演奏は耳をよく使うし、講師業も喋る仕事だ。いつも「ブログのネタがあ」と悩ませているし、気分転換のつもりだった読書もクイズ番組も、どれも頭をよく使っている。

そうは言っても、脳を休ませることはできない(睡眠くらいだろう)。どうすれば良いか対処法を訊ねたところ、「運動による疲労が溜まれば解消される」らしい。頭脳疲労と運動疲労のバランスが大事だ、とのことだ。他に対処法はないかと、櫻井は今日も頭を悩ませている。

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