倫理観を身につけさせる方法

教育関係の仕事に就いている友人に「どうすれば正しい倫理観を身につけさせられるか」と訊かれたことがあります。どうやら学生に倫理観を教えなければならない立場にいるようでした。成績優秀な友人が、よりにもよってミュージシャンに助言を求めるなんて、よっぽど追い詰められているのでしょう(友人は非ミュージシャンです)。

辞書いわく、倫理観とは「倫理についての考え方」であり、倫理とは「人として守り行うべき道」とされています。「正しい倫理観を身につける」は「空気を読む」とほとんど同義ですが、どちらかと言えばテーマが重い時に用いられることが多いです。

たとえば、他人が書いた文章やデータを切り貼りして、自分が書いた論文として発表したとしましょう。これは盗作行為であり、立派な著作権違反ですが、倫理観が身についていないと「どうして他人の文章をコピーしてはいけないのか」と納得できません。「法律で決まっているから」と説明しても、「なぜ法律で規制されなければならないのか(そこまで悪いことなのか)」がわからないのです。

悪を悪として認識していない人に、悪を理解させる」、これが倫理観を身につけさせるということです。これは非常に難しいです。まず「善悪とは何か」を定義しなければならないですし、理解できるかどうかは教わる側の問題なので、教える側にできることは限られてきます。よしんば行動が悔い改められたとしても、それは注意されたからやめたのであって、倫理観が身についたとは言えません。



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もしも僕が友人の立場だったら、倫理観を教えることは諦めて「倫理に欠いた行動を取った場合のメリット、デメリット」について説明するに留まるでしょう。前述の盗作行為であれば、短時間で質の良い論文が書けるのがメリットになります。デメリットには、不正行為が見つかった際の処分(停学、退学)などが挙げられます。

メリットとデメリットを知ってもなお倫理に欠いた行動を続けるなら、それは本人が決めたことであり、周りの人間には成す術がありません。痛い思いをして目を覚ますのを待つばかりです。

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