ミュージシャンはえらいひとなのか

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某楽器店付属の音楽教室に勤めているのだけれど、櫻井がやっている仕事は、時間通りにスタジオに来て、ドラムを教えているだけで、それ以外の仕事、例えば、生徒を集める広報活動や、スタジオの管理などは、すべて楽器店のスタッフに一任している。他の店舗に勤めたことがないので比較しようがないけれど、今勤めている店舗のスタッフは非常に優秀で、彼らがいなければ櫻井の労力は何倍にも増えたであろう。お金を払ってレッスンに来てくださる生徒のためはもちろんのこと、忠実に仕事をしてくださるスタッフのためにも、感謝と礼儀をもって自分の仕事をしなければならない、と常々感じている。

どうもミュージシャンという職業は、「皆の憧れの職業」という幻想を持たれているせいか、「他の職業よりも立場が優れている」と考えている人がいる(ミュージシャン自身がそう勘違いしているケースが非常に多い)。たとえば、「楽器店のスタッフはミュージシャンよりも下である」とか「ステージの裏で働く音響担当や照明担当より、ステージに立って演奏するミュージシャンの方が偉い」という、言葉にするのも馬鹿らしい愚かな考えが、未だにまかり通っている。どんな職業にも、それぞれに与えられた役目があって、それを忠実に行ない、見合った報酬を受け取る、これが仕事である。仕事に優勢も劣勢もないし、上下関係もない。店長と平の店員では、店長が上で店員が下、と考えている人もいるけれど、単にこれは「組織の統率と決定権を担う」という役割が店長に与えられているだけであって、職業上の優劣ではない。強いて言えば、多く稼いでいる人は多く税金を納めるので、社会的に立派だ、くらいには評価できるかもしれないけれど、立派だからと言って、立場の優劣が変わるわけではない。

ミュージシャンの中では「他の職業よりも立場が優れている」という考えが残っているけれど、世間一般では、「特別な職だから偉い」という考えは減少してきていると思う。最近は逆に、「平凡な職だから偉くない」と、卑屈な劣勢を感じて、仕事をしなくなる人が増えてきているように思う。若者の早期退職なんかが、いい例ではないだろうか。ただ、すぐに辞職する分にはまだマシな方だと思うけれど、「辞めたらやっていけない」と、中途半端に仕事をする人は非常にタチが悪い。続けたところで誰も得をしないのは、火を見るよりも明らかなのに、馬鹿なふりをして誤魔化す人が多い。

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