ミステリー小説の犯人当てが容易である理由

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一般的に、ミステリー小説の醍醐味は「犯人当て」にあります。創意工夫した目を見張るトリックがあっても、また、複雑な人間関係から生じたリアルな動機があったとしても、読者が最初から最後まで興味を持つのは「誰が犯人であるか(Who done it ) 」です。より正確に言えば、「自分の予想が当たっているかどうか」です。なぜ犯人当てに魅力を覚えるかというと、「比較的当てやすいから」というのが大きな理由です。

当てやすい原因の1つは、「限られた登場人物の中から選ぶ、単純な選択問題だから」ということ。多くの場合、ミステリー小説が扱うのは殺人事件です。殺人という犯罪は、ただでさえ限られた選択肢を削る行為であるため、ストーリーが進めば進むほど選択肢が減って答えやすくなります。たとえば、登場人物が10人いるとする。内2人は主人公とその相棒なので除外し、殺人事件が3件起こった場合、残りは5人。当てずっぽうに答えても20パーセントの確率で犯人を当てられます

もう1つの原因は、「『犯人は意外な人物である』という特性がミステリー小説にはある」こと。前述の例でいえば、残り5人の登場人物の内1人は「はん! あいつが死んでせいせいしたぜ!」という風に「明らかに俺が犯人だぜオーラ」をまとっています。他にも「顔を隠した謎の宿泊客」や「逃亡中の犯罪者」、「数年前から行方不明の重要人物」などがこれに当たります。また、「主人公や相棒が犯人」「死んだと思っていた人物が犯人」というパターンもあるが、有名過ぎるトリックであるがゆえに警戒されやすく、見抜かれやすいのです。

どうしてこんな特性があるかと言うと、大半の読者が「意外な犯人」を求めているからです。あっと驚かせるための趣向が、かえって墓穴を掘っているのです。さらに、「作者の特色」というものもあり、作品を複数読めば「この作者ならこういう流れで、こういう登場人物を犯人にしてくるだろうな」という傾向がなんとなく見えてきます。以上の理由により、犯人当ては「取っ付きやすい魅力」であると同時に、「マンネリ化を招く要因」であることがわかります。

しかし、面白いミステリー小説は犯人当てにも工夫を凝らします。1年ほど前に麻見和史氏の『石の繭』という作品を読んだのですが、「犯人当て」の観点で見れば易しい作品でした。ところが、「この作者の作品は犯人当てしやすい」と高を括って続編を読むと、これがちっとも当たりません。続編を読ませるためにあえて最初は簡単にしたのではないか、と疑うほどでした。特に3作目の『水晶の鼓動』は、犯人当ての手がかりが多数提示されているにも関わらず、絶妙な工夫によってカバーされています。ちなみに、『石の繭』はすでにドラマ化されており、『水晶の鼓動』も今月WOWOWで放映される予定なので、普段小説を読まない人にもオススメです。



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