プレス・フープ

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ドラム・セットのパーツのひとつで、シェル(胴体)にヘッド(皮)を固定する際に用いる、金属製の輪のことを指す。演奏時には「リム(Rim=縁)」と呼称が変化する。鋳型(いがた)に溶かした金属を流し込んで成型(Die-casting) する「ダイキャスト(ダイカスト)・フープ」に対し、プレスフープは一枚の金属板を圧迫(’Press’ )して成型する。

 稀にブラス(真鍮)製のプレス・フープもあるが、多くの場合、スティール(鋼鉄)製である。また、プレス・フープの中でも「シングル・フランジ」「ダブル・フランジ」「トリプル・フランジ」と複数、種類がある。シングル、ダブル、トリプルは「金属板を曲げた回数」で、現在ポピュラーなのは、「打面側の折り目を外巻きに曲げたトリプル・フランジ」である。断面図で解説しよう。

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外巻きがあるのだから、もちろん内巻きのトリプル・フランジもある。外巻きはオープンな音(広がりのある音)、内巻きはタイトな音(引きしまった音)になる傾向がある。外巻きのトリプル・フランジはどのドラムメーカーも作っているけれど、内巻きのトリプル・フランジを現在作っているのはサカエ社くらいではないだろうか。また、ダブル・フランジは、グレッチ社のブルックリン・シリーズか、パール社の「ファット・トーン・フープ」も比較的構造が近い(内巻きのトリプル・フランジとダブル・フランジの中間くらいか)。シングル・フランジは、スネア・ドラムのごく一部のモデルで使用されていることを除けば、ほとんど流通していない。

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また、同じスティール製で、外巻きトリプル・フランジ仕様のプレス・フープでも、金属板の厚さによって音が変化する。厚さが薄くなればオープンかつ軽めの音、厚くなればタイトかつ重めの音の音になる傾向がある。薄いプレス・フープは1.6ミリ、厚いプレス・フープは2.3ミリと規格が共通していることが多く、厚さによって名称(商品名)が変わる。たとえば、ヤマハ社の1.6ミリプレス・フープは「トリプルフラン・ジフープ」、2.3ミリプレス・フープは「ダイナ・フープ」となり、パール社の1.6ミリプレス・フープは「スティールフープ」、2.3ミリプレス・フープは「スーパー・フープ2」である。さらに、同じ厚さのプレスフープでも微妙にサウンドは変化する。ヤマハ社やパール社のプレスフープはややタイトな作りになっており、音もタイトで、高域が強調されやすい。逆に、ラディック社のプレス・フープはややルーズな作りで、伸びのある音になりやすい。

サウンド以外の特徴を挙げるならば、ダイキャストに比べて非常に安価であり、あらゆるメーカーのドラムセットに採用されている。安価だから音が悪い、ということはないが、ダイキャストに比べ剛性が低いため歪みやすい、といったデメリットはある。しかし、剛性が低いということは、ある程度「しなり」を持ったフープということであり、チューニングが容易にできる、というメリットもある。叩いた感触も柔らかく、手の負担も少ない。要は好みの問題である。値段に惑わされてはいけない。

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