プライドの単位

「プライドが高い」という言葉は、良く言えば「信念を持って意志を貫く」という意味になりますが、大抵は、「頑固で融通のきかない」という、ネガティヴな意味で使われます。僕が小学生の時、学校では「プライドが高いと生きにくくなる」と教えていました。「柔軟な考えを持って皆と仲良くしましょうね」というのが一般的だったのです。

しかし、必ずしも「プライドが高いと生きにくくなる」とは言い切れないのではないでしょうか。まず、目標が明確なので、道に迷うことがありません。歩き方やスピードも自分で決めるので、疲れにくいでしょう。強いて欠点を挙げるとすれば、基本的に単独行動であることですが、単独行動が欠点になるかどうかは個人差があります。道徳的に正しいか間違っているかどうかはさておき、プライドは高い方が楽に生きられるでしょう。他人に合わせて柔軟に生きていく方が、よっぽど複雑な人生になります。

どうして学校で、複雑な人生を歩むように教えているのでしょうか。道徳的な理由が一番の動機だと思いますが、もうひとつ、「難しい道を歩く方が成功する確率が高いから」というのが挙げられます。この場合の成功とは、目標の達成のことを指します。目標とは、良好な人間関係の上に成り立つ場合がほとんどなので、達成するためには他人に合わせる必要がある、というわけです。

「自分の信念の元に行動を起こせば必ず成功する」と思っている人が、アーティスト志望の人には多いです。実際に成功したアーティストが、似たようなことを言っているものですから、頑固に自分を貫いてしまうのです。しかし、あなたを成功させるのはあなた自身ではなく、あなた以外の誰かだということを忘れてはいけません。



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いっぽう、「人生に疲れた」という人は、もっと自分を誇って良いと思います。その歩いてきた道は、自分の信念を貫いて生きている人よりも、ずっと険しく難しい道だからです。生物として優れている、と言っても良いでしょう。

僕は、プライドの単位は高さではなく、重さだと思っています。プライドが重いと安定しますが、歩みは確実に遅くなります。プライドが軽いと、速く楽に走れる分、壊せない壁が増えて真っ直ぐには進めません。

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