ビルボードに立ったから何だと言うのか

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プロフィールに「ビルボード出演経験あり」と書いているミュージシャンがいる。ビルボードとは、国内外の有名アーティストが出演するコンサート・ホールのことだ。そのミュージシャンは学生時代に学校のイベントでビルボードに立っただけで、決して有名ではない。わざわざ書くようなことだろうか、と甚だ疑問なのだけれど、他に書くことがなかったのかもしれない。それが透けている時点で書くべきことでないだろう。

そもそもビルボードの出演経験はプロフィールに載せるようなステータスなのだろうか。ビルボードの収容人数は約300人、それほど大きな会場ではない。「毎月出演」のように、コンスタントに人を集めているならともかく、たった1度の出演では集客力のアピールにもならないだろう。その1度にしたって学校のイベントで会場を借りただけで、ミュージシャンの実力ではない。

ところがある時、「ビルボードで演奏してみたい」という風なことをおっしゃっている人がいた。理由を訊ねると「憧れのアーティストが立った舞台に立ってみたい」らしい。それを聞いて、「なるほど、場所を神格化しているのか」と気がついた。映画や小説の舞台を「聖地」と呼ぶように、場所そのものに価値があると錯覚しているのだろう。評価されるべきは聖地やビルボードではなく、作品やミュージシャンではなかろうか。

その旨を伝えると、「ティモさんはプロだからそう思うのでしょう」とおっしゃっていた。アマチュアの時から櫻井の考えは変わっていないので、たぶん、櫻井の考えはあまり一般的ではないのだろう。いわゆる「一般受け」を狙うなら「ビルボードに立った」とアピールすべきなのかもしれない。

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