バスドラムの奏法について

僕が初めてドラムを習った、偉大な師匠が、バスドラムの奏法についてブログを書かれていました。おそれながら僕も、自分の奏法について、少し言及してみたいと思います。師匠に比べれば、僕のドラム歴は底が知れていますが、それはそれとして、何かの参考になれば、という気持ちで書いています。

まず、バスドラムに限らず、僕は、演奏することにおいて、大前提を持っています。それは、「どんな状況下においても、変わらず演奏できること」です。バスドラムの奏法に関しては、「どんなペダルでも、変わらずに演奏できる奏法を使う」ということに重きを置いています。自分にとって演奏しやすいペダル、セッティングはありますが、「それでなければ、思うように演奏できない」という状態は、避けなければなりません。ようするに、「演奏できないことを、器材の責任にしない」ということです。

ドラムで音を出す以上、その音はドラマーの責任です。ただ、「どんなペダルでも」というのは、「壊れたペダルでも演奏可能」という意味ではありません。ビーターのフェルトが擦り切れて、金具部分がヘッドに当たっていたり、スプリングが全く機能しないため、ビーターが戻ってこなかったり、フットボードが曲がっている、あるいは、割れていたりするなど、こういった症状があるペダルは、器材とは呼べません。ただし、演奏する前に器材をチェックする責任がドラマーにあるので、やはり、これも責任転嫁することはできません。

どんなペダルでも変わらず演奏するために、状況に応じて奏法を使い分けるのが一番です。いずれの奏法も、ビーターがヘッドに当たって返ってくる力(リバウンド)を利用します。この最大の利点は、最小限の力で演奏できる(無駄な力を使わない)ことにあります。「力を入れないと大きい音が出せない」というイメージがあるかもしれませんが、実は全くの逆で、最も大きい音が出せるのは、最も脱力できた時です。

リバウンドを使う奏法は、ペダルのスペックから、ほとんど影響を受けません。極端なケースを除き、どんなセッティングにもビーターが一番リバウンドするポイントがあるので、それを見つけられれば、変わらずに演奏できます。バスドラムのチューニングも同様です。ハイ・ピッチの方がリバウンドを拾いやすい傾向にありますが、ロー・ピッチでもビーターは必ずリバウンドします。また、「リバウンドを拾う」という特性上、自然とオープン奏法(ヘッドからビーターが離して演奏する奏法)になります。



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では、リバウンドを利用するには、どういった練習をすれば良いのでしょうか。最初は、ペダルのスプリングを外して練習するのが良いでしょう。スプリングがない状態でペダルを踏んで、ビーターが返ってこない状態は、リバウンドを活かしきれていない証拠です。ヒール・ダウン(かかとをフット・ボードにつけた状態)でつま先を上げ、足の裏でペダルを一瞬叩くように踏んでみまよう。一打ずつゆっくり踏み、感覚が掴めてきたら、今度はヒール・アップ(かかとを上げた状態)で同じことをします。ヒール・ダウンでもヒール・アップでも、使っている筋肉、神経は同じ場所です。

ちなみに、僕がドラムを教えてもらっていた当時、師匠は、「バスドラムは、クローズ奏法で踏んだ方がパワーもあって音質も良くなる」とおっしゃっていました。僕は、どちらかと言えば天邪鬼なので、「これが良い」とオススメされたことの、逆方向へ突き進む傾向があります。結果として、奏法に関しては、見事に正反対になりました。しかし、音抜けが重要という点は、師匠と意見が一致しています。これは間違いなく、僕が師匠の影響を受けている証拠です。

目で見えるものを教えるのは、比較的簡単です。目に見えないものを教えられるのは、一流の教育者の証だと思います。心から、敬意を込めて。

【参考リンク】
Kickの音量』高木和好

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