テレビ

今となっては、見ている人の方が少ないかもしれません。ほんの十数年前までは、重宝されていた家電でした。電源をつけるだけで情報が流れてきますし、ディスプレイを使ってビデオやゲームの映像を映すこともできます。当時は、まだパソコンもインターネットも普及しておらず、携帯を持っている人と、いない人が半々くらいでした。そのため、家庭内の娯楽と言えば、テレビかゲームくらいしかなかったのです。

ゲームは、「目が悪くなる」「頭が悪くなる」という、マイナスのイメージを強く持たれていました。いっぽう、テレビは、ゲームほどの非難は受けていません。むしろ、ほとんどの人がテレビを見ていました。学校のクラスメイトが見ているテレビ番組をチェックしないと、話題に乗り遅れ、クラスの除け者にされてしまう、という事態が、実際に起こる時代だったのです。

そんなテレビに「出演する」というのは、今では考えられないほど名誉であり、特別なこととされていました。ほんのちょっと映っただけでも、しばらくクラスのヒーロー、ヒロイン扱いされます。ミュージシャンは、「年末の紅白歌合戦に出演できれば一生音楽で食べていける」と言われていたほど、影響力がありました。そんな憧れを持たれる、メディアに出演する芸能人という職業は、プロのスポーツ選手を目指すのと同じくらい夢物語で、そして、立派なものだとされていました。

僕自身、小中学生までは、「テレビがなくては、生きていけない」という人生を送っていました。超がつくほどのゲーマーでしたし、夜行性だったので、深夜に放送しているアニメや映画、通販番組ばかり見ていました。ところが、高校に入ってからは、テレビを一切、見なくなりました。ドラムを始めたからです。周りの友人たちからは、「テレビを見ないなんて、意味がわからん」と言われました。



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「みんながテレビを見ている間に練習すれば、不器用な自分でも対等になれるだろう」という思惑があっため、苦になりませんでした。残念ながら、高校にいる間にその成果は出ませんでしたが、10年経った今は、大きな成果を得た、と確信しています。

「何かを得るには、何かを犠牲にしなくてはならない」とは言いますが、僕は、テレビを犠牲にしたとは思っていません。ドラムが上手くなりたくて、上手くなるにはどうすれば良いかを考えて、最も手っ取り早く試せる方法を選んだだけです。上手くなりたい人に授けるアドバイスは、「テレビなんか見るな」ではなく、「どうすればいいと思っている?」です。

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