ケガは勲章たりうるか

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フィクションの世界で、トレーニング中にケガを負う描写がなされる時がある。出血したり、痛みに苦悶の表情を浮かべたりすることでトレーニングがいかにハードであるかを表現しているのだろう。「包帯をぐるぐる巻いた状態で本番に挑む」なんてシチュエーションもよく目にする。

音楽を題材にした作品では、手のひらに水ぶくれ、いわゆる「まめ」を作りながら楽器を弾くシーンがある。まめができているのに演奏を続け、皮膚が裂けて出血する、というシーンに繋がることも珍しくない。重度の腱鞘炎を抱えていて、「これ以上続けたら二度と楽器が弾けなくなるぞ!」という忠告を受けたのにも関わらず、よくわからない精神論を説いて本番にのぞむキャラクターもいた。

現実的な話をしよう。不慮の事故というケースもあるけれど、ケガをする主な原因は「無駄な力が入っている」である。根本的にフォームが悪いとか、長時間続けたせいで体力が衰えて思わぬ部位に負担がかかるなど、自己管理能力の欠如によってケガをするわけだ。極端な例だけれど、寝坊して会社に遅刻するのと同レベルの失敗である。

フィクション世界の描写のせいか、ケガを「勲章」とか「努力の証」と考えている人がいる。どちらかと言えば「素人の証明」とか「アマチュアの証拠」の方が正確なのではないか。包帯姿でステージに立っていても「こいつ……やるな!」とは思わない。強いて言えば「こいつ……やらかしたな」である。

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