やろうとしてもできないこと

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先月『1度でいいからやってみたいこと』を100個挙げましたが、この「やろうとしてもできないこと」というのは、ある条件を除けば、そういくつも挙げることはできません。言い換えれば、「ある条件さえ満たしていれば不可能はほとんどない」ということです。たとえば、櫻井が「歌って踊れる女性アイドル」を目指すとしましょう。一番の難関は性別ですが、現代の技術ならやってやれないことはないので、できないことには含まれません。しかし、「AKB48に入りたい」や「モーニング娘。に入りたい」となると、前述の「ある条件」を満たせないため、できないことに含まれます。ある条件とはずばり、時間制限です。

AKB48やモーニング娘。に入るにはオーディションが必要で、いずれも「10代後半~20代前半の独身女性」に限られます。性別の問題はどうにかなっても、時間を戻すことはできないため、遅すぎるわけです。他にも60、70代で「メジャーリーグで現役の野球選手として活躍したい」というのは、体力的に遅すぎると言えるでしょう。「結婚して妻と子どもがいるけれど、仕事をやめて大学へ進学したい」という場合、家族の同意が得られなければ、やはりこれも遅すぎるのです。ただ、櫻井の周りには「結婚、出産後に退職し、大学へ進学した」という夫婦が複数組いるので、ケース・バイ・ケースだと思います。

「できないこと」の理由になる時間制限は、「遅すぎる」よりも「早すぎる」の方が圧倒的な割合を占めています。「ぼく3さいだけど、環八をロードースターで爆走したい」というのは、たとい速度制限を守ったとしても運転免許を取得できないので、できないことに含まれます。どれだけ素晴らしい歌声とダンスの才能と美貌を持っている10代女性だとしても、「今日中にAKB48のセンターになりたい」というのは、いろいろとすっ飛ばし過ぎているわけです。もう少し現実的な例だと、ものすごい音痴なのに「自分の才能を信じて歌手デビューする」と、ひたすら音楽事務所に音源を送るのも早すぎると言えます。まずはレッスンを受けるなどして、音痴を克服するのが先でしょう。

この「早すぎる」という自覚を持つのは非常に重要なことで、これがないと必ずと言っていいほど責任転嫁が起きてしまいます。「私の才能を認めない事務所が悪い」ですとか「あんな歌手がデビューしているのに私がデビューしないのはおかしい」といった風に、本来問題にすべき点をうやむやにしてしまうのです。

このように、時間制限を「いつ」にするかによって、本来であれば実現可能な目標でも「やろうとしてもできないこと」になってしまいます。「いつ」を見失っていると目標を達成できないばかりか、いわゆる「目標を持つのが目標」という状態に陥ってしまいます。「いついつまでに目標を達成する」と期限を決め、それに向かって善処し、期限がきて「やるだけやった! 諦める!」という人の方がよっぽど潔いのではないでしょうか。「いつやるか?」という問いは、安易に答えられません。それを決めた瞬間、時限爆弾みたいにカウントダウンが始まるのです。



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