なぜボーカリスト志望が多いのか

国内外問わず、ボーカリストは人気の役職です。しかし、前にブログで書いた(参考『演歌歌手ってクラシックは歌われへんの?』)とおり、ボーカリストとは非常に難易度が高い役職です。高い壁の方が登り甲斐がある、ということでしょうか。中にはそういう方もいると思いますが、人間は普通、楽をしたがる生き物です。つまりボーカリストには、「高難易度を無視できるほどの引力」があるのです。それはボーカリストの魅力であると同時に、まやかしでもあります。いくつか例を挙げましょう。

◯楽器代が無料

ボーカリストが使う楽器は自分の声です。多くの場合、人は生まれながらにして声が与えられています。しかも、無料で、レンタルでもなく、永久に自分のものです。いつでもどこでも使える携帯性も見逃せません。しかし、「ただより高いものはない」という言葉があるように、ボーカルという楽器にも弱点はあります。致命的なのは「修理、交換ができないこと」でしょう。理想とする歌声があっても体質や体型によってどうやっても再現できないことがありますし、老いて劣化しても新品に替えることはできません

◯歌う以外に仕事がある

ボーカリストはアンサンブルの花、いわば「看板」です。ライブのMCを任されたり、作詞に携わったりすることも多くなります。ソロで活動する場合はピアノやギターなどのコード楽器を扱ったり、最近はダンスしながら歌ったりするボーカリストも珍しくありません。多様性に富んだ役職なのです。逆を言えば、「ボーカルだけではやっていけない」ということです。よほどの才能でもない限り、歌だけではボーカリストはやっていけません。また、弾き語りにせよダンスにせよ、あれやこれやと手を出せば本職であるはずのボーカル業がおざなりになってしまいますし、かといって手を抜けば中途半端な実力になってしまうでしょう。



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◯目立つ

おそらく、ボーカリストの最大の魅力です。音楽にうとい人であっても、ボーカルの音(つまり、声)は聞いています。ベースやドラムとは比較にならないほど、注目を集める楽器なのです。ドラマの主人公のように、音楽の中でボーカリストは主役なのです。しかし、主人公に魅力のないドラマが流行らないように、ボーカルに魅力のない音楽は長続きしません。大きな責任を伴う役職なのです。ボーカリストだけで音楽の良し悪しは半分決まると言っていいでしょう。

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