どちらが成長したミュージシャンか

Aさんの性格は「飽き性」です。レッスンの課題曲は1番のサビまで演奏できるようになったら満足してしまうため、1曲通して演奏したことがありません。2番以降にチャレンジしようとしてもやる気が起きず、レッスンにも集中できないため、「もう次の課題曲へ行きましょうよ」と講師に要望します。新しい課題曲を与えられるとやる気も再燃するのですが、また1番まで演奏して飽きてしまいます。その繰り返しでAさんは、数ヶ月で十数曲というレパートリーを持ちましたが、いずれも1番までしか演奏できないミュージシャンになりました。

Bさんの性格は「凝り性」です。課題曲は最初から最後まで、可能な限り原曲通りに演奏すべきであると考えているため、いつまで経っても1番でつまずいて先に進めません。ほんのわずかなミスも見逃せないため、イライラしながら繰り返し練習し、ある程度自分で満足できる演奏できた時には数ヶ月が経っていました。Bさんはその曲に関してはクオリティの高い演奏ができますが、レパートリーが1曲だけのミュージシャンになりました。

さて、AさんとBさんのどちらが「成長したミュージシャン」と言えるでしょうか



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成長とはすなわち、変化のことです。AさんもBさんも「レパートリーが増えた」「1曲通して演奏できた」という変化はあるものの、「飽き性」「凝り性」という、もともと持っている性質にはあまり変化がみられません。「短所を補う」という変化を狙うなら、Aさんは1曲通すべきですし、Bさんはレパートリーを広げていくべきでしょう。また、「長所を伸ばす」という変化を狙うなら、Aさんは2番に挑戦する必要がありませんし、Bさんは満足の基準を自分自身から他者へ移行すると良いでしょう。

もちろん、「ただ楽しみたいだけ」と、成長することをレッスンの目的としていない人もいます。しかしその場合でも、相手の性質を見抜き、どういったベクトルで変化するのが効率的か、講師は常に考えていなければならないでしょう。

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