~なしでは生きられない

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「ないと死ぬ」という言葉をオブラートに包む際に用いられることもあるが、基本的には「ないと苦しい」程度の痛みしか伴わない場合に用いる。英語にすると「Can’t live without-」、漢字2文字にすると「依存」である。ようするに、「生きられない」という割に、それがなくても生きられる場合がほとんどなのだ。たとえば、「空気なしでは生きられない」や「大動脈弓なしでは生きられない」という風に、本当にそれがないと生きられない物に対してはあまり用いられない。

「あなたなしでは生きられない」というように、恋仲で用いられることが多い。この場合は、「あなたがいないと苦しい」だけでなく、「あなたが好きで好きでたまらない」という前向きなアピールも含まれている。しかし、依存には違いないので、不健康と言える。見ていて本当に苦しそうだな、と思うのは「煙草」と「お酒」だ。前者は「ニコチン依存症」、後者は「アルコール依存症」である。「ニコチンが切れるとイライラする」や「アルコールが切れると手が震える」といった中毒症状が現れるので、やはり不健康である。

不健康であるのに、どうしてそれを改善しないのか。最大の理由は「初めから諦めている(改善できないと思い込んでいる)」だ。しかも「まぢムリ。。。死んぢゃぅ。。。」と悲観を装いつつ、「改善できないんだから、依存しても仕方ないよね」という楽観を含んでいるから、改善しようという気も起きない。さらに、その楽観を他人に押し付けるようになるとタチが悪い。具体的な例を挙げると、「煙草休憩」と言って、煙草を吸いたいためだけにリハーサルを中断させるミュージシャンがいる。本人は「トイレに行くのと同じだから」と思い込んでいるのだけれど、煙草1本のために貴重な時間を浪費しているわけだから、立派な迷惑行為である。

似たような言葉に「こだわり」がある。「この楽器でなければよい演奏ができない」や「6時間以上寝なければ本気が出せない」という風に、「~でなければ~できない」という形を取っていて、すべからく幻想である。せいぜい十数回程度の経験で「これはこういうものなのだ」と決めつけているのだ。仮にそのこだわりが真だったとしても、「どんな楽器でもよい演奏ができる」「六時間未満の睡眠でも本気が出せる」の方が優秀なのは明らかである。ゆえにこだわりとは、誇るべき力ではなく、隠すべき弱点なのだ。

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