自己中心的なライブは悪なのか

バンド活動をしている生徒様が「バンドのリーダーが、自分のやりたい曲ばかり選んでいて退屈している」という風な悩みを打ち明けてきたことがあります。話を聞くと、今度のライブで演奏する4曲のうち3曲がテンポ80前後のバラードであるそうです。全曲が同一のアーティストで、聞いているお客さんも退屈するのではないか、というのが生徒様の懸念でした。前に『文化祭ライブで演奏すべきでない曲』でも書きましたが、バラード中心のセット・リストはよほどの技術か知名度でもない限り、聴衆の支持は得られないでしょう。

ただ、これが完全に悪なのかと言えば、そうとも言い切れません。リーダーが「自分のやりたいようにやる」というコンセプトで選曲したのであれば、観客を無視した選曲でも構わないと思います。人の目を気にすると、パフォーマンスのために我慢しなければならないことも出てきますし、窮屈な演奏になりがちです。もっと自由に演奏したいと望むなら、ある程度観客を裏切ることも必要です。

しかし、この場合問題なのは「メンバーの了承を得られていない」ということです。バンドはソロ活動ではありません。きちんと説明し、理解を得た上で実践すべきでしょう。リーダーが1人だけ満足しているようでは、バンド内の雰囲気も穏やかではなくなります。その不和は、確実に音に出ます。



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また、「自分のやりたいようにやる」というコンセプトで観客の支持を得ようとするのはほぼ不可能でしょう。そもそも、他人の曲をそのままコピーしているだけで観客を喜ばせるのは難しいでしょう。30年前ならいざ知らず、現代はいつでも手軽にオリジナルを聞いたり見たりできる時代です。

つまり、自己中心が悪なのではなく、自己中心を他人へ押し付けるのが悪なのです。

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