何でドラムセットは作られるか

ある番組で、タモリさんが、派手なカラーリングのドラムセットを見て、「これ、陶器(製)?」と、質問していました。非常に一般的な感覚で、感心しました。ドラムセットは普通、木製ですが、「ドラムセットは普通、木製である」と知っている人の方が少数で、特異ではないでしょうか。

世界には、さまざまな木材があり、ドラムセットに使われる木材も同様です。原産地やメーカーの製造方法、パーツによって、音は大きく変わってきますが、基本的に、木材の性質がそのまま音になります。軽い木材は軽い音で鳴りますし、硬い木材は硬い音で鳴ります。

ドラムセットに用いられている木材の中で、最もポピュラーなものは、「メイプル(かえで)」です。これは、「軽くて硬い木材」ですが、軽さと硬さが相まって、しばしば「明るい音」と表現されます。今では定番の木材ですが、メジャーになったのは90年代に入ってからで、わりと最近です。

それ以前の80年代は、「バーチ(かば)」という、メイプルとは対照的な、「重くて柔らかめの木材」がよく用いられていました。「柔らかめ」と言っても、バーチは、木材の中では硬い部類に入ります。どうやら、柔らか過ぎる木材は、ドラムセットに向いていないようです。音に問題があるのではなく、耐久性に問題があるのでしょう。

ほかにも、「ブビンガ(まめ)」「オーク(なら)」は、「重くて硬い木材」で、どのメーカーも「メタラーにオススメ!」と銘打っています。どちらも00年代になって台頭してきた木材です。ブビンガは巨木で量が採れますし、オークは比較的安価なので、不景気の中、メーカーは、コスト・パフォーマンスの良い木材を売りたいのかもしれません。



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ブビンガやオークとは逆の、「軽くて柔らかい木材」には、「ポプラ(もくれん)」が挙げられます。これは、60年代に流行った木材です。当時は、メイプルと組み合わせないと成型できない軟弱な木材でしたが、現在は技術が進歩し、ポプラ単体で作られたドラムセットもあります。

木製じゃないドラムセットもあります。ステンレス・スチールや、チタンなどの金属や、アクリルでできたドラムセットがあります。どちらも、木材のように鳴らすことが難しい(響かない)ため、木材にとって代われるものではありません。しかし、見た目にインパクトがあり、特にアクリルの透明(半透明)なボディは、今なお人気を博しています

残念ながら、陶器製のドラムは聞いたことがありません。仮にあったとしたら、叩いた衝撃ですぐにヒビが入るか、粉々に割れるのではないでしょうか。ドラム・ソロの後にドラムセットを放り投げる、某コルセットドラマーに、ぜひ使っていただきたいものです。いつも使っているアクリルセットより、ずっとインパクトのある画が撮れることでしょう。

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