リスナーとプレイヤーの違い

とある有名人が「音楽は聞くに限る。楽器はやるもんじゃない」という風なことをおっしゃっていました。「音楽を聞くのが好きなら、自然と楽器に手が伸びる」と僕は思っていたのですが、よくよく考えてみればたしかに、「聞く」と「演奏する」は全くの別物です。「家に住む」と「家を建てる」ほどではないにせよ、聞き手と作り手の差は大きいのです。レッスンに来る生徒様にも「積極的に音楽を聞くことはないけれど、楽器はやりたい」という人がいます。このことからも、リスナー(聞き手)とプレイヤー(演者)には明確な違いがあることがわかります。

僕の場合、音楽に興味を持つようになったのは、ゲーム音楽やアニソンカーペンターズジャズ音楽などがきっかけでした。ただ聞くだけでなく、メロディを鼻歌したり、誰にも見つからないように鏡の前でエア・ギターしたりしていました。移動している時は「友人たちとバンドを組み、ドームでライブしている様子」を妄想したり、「今はPVの撮影中」と歩幅を調整したりしていました。過去形で書きましたが、現在もやっています。とにかく、鼻歌やエア・ギターも含め、プレイヤーを模倣したり自分がプレイヤーになった様子を空想したりする癖が昔からあったのです。



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ひょっとしたらリスナーは、そういった想像をしないのかもしれません。ふと頭によぎることはあっても、「想像せずにはいられない」といった衝動に駆られることはないのでしょう。音楽を聞いて励まされたい、感動したいといった具合に、自分の役に立つアイテムとして音楽を用いているのではないでしょうか。たとえば、僕はポロシャツが好きですが、ポロシャツを作ろうと思ったことはありません。デザインのセンスがないのも原因ですが、ポロシャツを作っている自分の姿を想像できないのです。僕にとってポロシャツは自分を飾るアイテムの1つであり、フォーカスは別のものに向いています。同じことがリスナーにも言えるのではないでしょうか。

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