ドラムの練習時に、普段使っているスティックよりも長かったり太かったりするスティックを使う人がいます。スティックの体積が増せば振り心地が重くなるため、身体に負荷がかかり鍛えられる、という理屈です。長さは3mm、太さは0.5mm変われば振り心地が変わってくるため、いつもより1mm太いスティックを使うだけでかなりの負担になるでしょう。ドラム・スティックよりも規格が大きいマーチング・スティックを練習用スティックにしている人もいます。
僕が普段のレッスンで使っているスティックは、長さ423mm、太さ19mmという非常に大きなモデルです(ドラム・スティックの平均的なスペックは長さ408mm前後、太さ14mm前後)。もともとは「普通のスティックよりも長持ちする」という理由で使い始めたのですが、使っているうちに普通のドラム・スティックの演奏が前よりも楽になりました。メインで使っているスティックは平均よりもだいぶ重いモデル(太さ16mmのヒッコリーかオーク)なのに、紙のように軽く扱えます。負荷をかけると鍛えられるというのは伊達ではありません。
ただし、注意しなければならないポイントもあります。
◯メインのスティックも使うこと
重いスティックとメインのスティックは、全く別のスティックです。重いスティックばかり使っていると「メインのスティックが軽過ぎて、かえって叩きづらい」という事態になりかねません。スティックがもつポテンシャルを活かすためには、実際にそのスティックを使う必要があります。
◯身体に負荷をかけ過ぎないこと
単純に、怪我のもととなります。特に、経験の浅いドラマーは力が入りやすく、フォームが崩れる可能性が高くなります。ドラマーはスティックを振り回す側であり、スティックに振り回されているようではトレーニングどころではありません。フォームについて知識があり、ある程度脱力して叩ける人でなければ、かえって逆効果になるでしょう。
いずれにせよ、重いスティックを使うのは「力を抜くため」であり、「筋力を鍛えるため」ではありません。ダイエット目的でしたら重いスティックを使うより、ダンベルを使った方が効果的でしょう。