サブ楽器

先日、同じビッグバンドに所属するトランペッターと、「サキソフォニストは、フルートへの持ち替えができる人が多い」という話になりました。メイン楽器とは別の、いわゆる、サブ楽器の話です。言われてみれば確かに、持ち替えはできなくとも、フルートを所持しているサキソフォニストは多いと思います。

アルトからテナーやクラリネットへの持ち替えであれば、同じ木管の縦笛ですし、構造上、持ち替えしやすいと思います。しかし、フルートは、同じ木管でも横笛ですし、サックスのようにリードを振動させるわけでもないのに、どうしてサブ楽器として定着しているのでしょうか。小型で携帯しやすく、比較的安価な楽器だからでしょうか。

冒頭の彼は、「トランペッターは、フリューゲルホルンくらいしか持ち替えができない」とおっしゃっていましたが、ボーカルをサブで務めるトランペッターは、よく見かけます。歌は、息を使う楽器なので、管楽器であれば、どれも近い感覚のように思えます。しかし、これも不思議とトランペッターに集中しています。

いっぽう、ボーカリストのサブ楽器は、ピアノが圧倒的に多いです。「ピアノが弾けないボーカリストは、プロとしてやっていけない」という話もよく聞きますが、どうしてピアノに限定されるのでしょうか。「歌と一緒に演奏できるため、単独でパフォーマンスが可能になる」というメリットはあります。しかし、それなら、ギターでも良いような気がします。



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ピアニストは、最もサブ楽器のレパートリーに富んだミュージシャンでしょう。1ステージの間に、キーボード、ギター、トランペット、ボーカル(コーラス)を兼ねるピアニスト、という人もいます。ギターとベースは、同じような構造をしていますが、ベースに持ち替えるギタリスト、ギターに持ち替えるベーシストは、思いのほか少ないです。これは、ベースという楽器が、ある種の絶対的な地位のようなものを築いているためでしょう。いないと成り立たないですし、2人では多すぎるのです。そういう理由もあって、ベーシストがサブ楽器に選ぶのは、ほぼ必ずと言っていいほど低音楽器です。

ドラマーのサブ楽器は、コンガ、ボンゴ、カホンなどのパーカッションが挙げられます。同じ打楽器だからか、「ドラムが叩けるなら、パーカッションも普通に叩けるでしょ?」と思われがちです。実際は、同じ打楽器でも、あれらは別次元の楽器です。しかし、これも不思議なことに、「パーカッションが叩けないドラマー」はいるのですが、「ドラムが叩けないパーカッショニスト」は皆無です。

ドラムをサブ楽器にしているミュージシャンは、パフォーマンス目的で演奏している場合がほとんどです。そのため、ちょっとくらい下手に叩いても許されます。ドラムは、世界で一番簡単な楽器ですが、それを音楽的に成立させられるミュージシャンは、ドラマーだけです。

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