クラーベ

キューバ音楽で用いられるリズムの名称、あるいは、そのリズムを奏でる、細長い木製の楽器のことを指します。後者は、「クラベス」と言えば、大体の人がイメージできるのではないでしょうか。クラーベ(Clave) を2本使うので、複数形でクラベ(Claves) 、というわけです。前者は、「ソン・クラーベ」と「ルンバ・クラーベ」という、2種類のリズム・パターンがあります。1小節目に3回、2小節目に2回音を出すため、「3-2ソン・クラーベ」「3-2ルンバ・クラーベ」と呼ばれます。ソン・クラーベに比べ、3サイド(1小節目)の3番目の音が、半拍遅れているが、ルンバ・クラーベです。

son
rhumba

このクラーベというリズムは、キューバ音楽の土台になっています。ロックやポップスでは、「ワン、トゥ、スリー、フォー」とカウントを取りますが、キューバ音楽では、クラーベがカウント代わりになります。2サイド(2小節目)のフレーズから始まる「2-3ソン・クラーベ」「2-3ルンバ・クラーベ」を土台とした曲もありますが、本場キューバでは、「2-3」という考え方をしません。「クラーベすなわち3-2」であり、2-3クラーベが土台になっているような曲でも、3サイドから曲が始まるのが一般的です。

23son

また、3-2ソン・クラーベの2サイドの2番目の音を、半拍遅らせたものを、「ボサノバ・クラーベ」と呼ぶことがあります。しかし、ボサノバは、ブラジル音楽であるため、厳密には、楽器のクラベスも、リズムのクラーベも用いません。あくまで、「こういうのやっとったら、それっぽくなるで」程度の指針です。ブラジル音楽を演奏する際、ずっとボサノバ・クラーベをやっていると、トム・ジョビンに飛び蹴りされるので注意しましょう。ちなみに、ブラジル音楽では、「スルド」と呼ばれる楽器で奏でるリズムが土台になっています。

bossa

ソン・クラーベやルンバ・クラーベの、3サイド(2サイド)のサイズを縮めたり広げたりすると、変拍子の曲に用いれます。たとえば、3-2ルンバ・クラーベの2サイドを、4分音符1つ分縮めると、7拍子になります。このテクニックを、「変拍子クラーベ」と言います。



★オススメ ライブ




7

5拍子、7拍子、9拍子までは、1つのクラーベだけで演奏できます。それ以上の拍子では、3-2-3など、1.5倍の形になります。たとえば、11拍子のソン・クラーベは、3-2ソン・クラーベ + 3サイドで、2回目の3サイドの3番目の音が、次の小節の頭拍(1拍目)になります。文字にするとややこしいですが、譜面にすると以下のようになります。

11

ドラマーは、このクラーベ(リズム)をベースに、ドラム・パターンを作ります。7拍子、9拍子、11拍子は比較的簡単ですが、5拍子、13拍子、15拍子は、気を抜くと1拍短くなったりするので、油断できません。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール