アドリブってどうやるの?

アドリブ」とは、あらかじめ決めていない、その場の思いつきを形にすることです。音楽に限定すると「即興演奏」のことであり、「インプロビゼーション」と訳される6こともあります。特にジャズで用いられる演奏手法ですが、ポップスやロックでも間奏部分に用いられていることがあります。「その場の思いつき」というのが難しいところで、「その場にならないとアドリブできないなら、1人では練習のしようがないのでは」と考えている人がいるのも頷けます。厳密に言うとその通りで、本番で経験を積まない限り上達はしないのですが、アドリブする際の心構えのようなものは知っておくことができるでしょう。

たとえば、劇で『浦島太郎』をやることになったとしましょう。あなたが主人公の浦島太郎に配役された時、どんなアドリブが可能でしょうか。亀をいじめていた子どもたちをバズーカで吹き飛ばすとか、「海の中でどうやって息するん?」と突っ込みを入れるとか、いろいろなアドリブが思いつきますが、できないアドリブがあります。それは、「本筋を終わらせるアドリブ」です。知っての通り、浦島太郎の本筋は「亀を助ける」「竜宮城へ行く」「玉手箱をもらう」「玉手箱を開けておじいさんになる」です。これらがないと、浦島太郎の物語が成立しません。つまり、「亀を見捨てる」とか「竜宮城や玉手箱を拒否する」といったアドリブはやってはいけないのです。

音楽におけるアドリブもこれと同じです。楽曲によって本筋があります。それはコード進行だったり、メロディだったり、リズムだったりするのですが、アドリブをした後は必ず本筋に戻る必要があります。本筋に戻れないアドリブは、本筋を殺しているのに等しいのです。本筋から外れれば外れるほどスリリングな演奏になりますが、それだけ戻りづらくなります。アドリブは自由な創作ですが、限られた領域内の自由であることを忘れてはいけません。「本筋に戻れないアドリブは、思いついてもやるな」ということです。



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また、浦島太郎という「おとぎ話」という世界観に、バズーカや海中での呼吸(メタ発言)といった「現実感」を持ちこむアドリブは「ユーモア」に含まれます。音楽でいうと、スウィングのスタンダード・ジャズにロックのビートを持ちこんだり、ディストーションで音を歪ませたりするのがこれに相当します。どちらかと言えば、聞いている人を笑わせるのが狙いです。簡単にできるアドリブの典型ですが、やり過ぎは禁物です。やはり、世界観に相応しく、かつ物語に深みを増すようなアドリブが望ましいでしょう。

本筋を知り、世界観を学ぶことは自分1人でもできます。すべては自由のために。

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