さよなら、妄想バンド

音楽を聞くと、それを演奏している自分の姿を思い浮かべる癖がありました。場所はドームだったり、武道館だったり、野外のフェスだったり様々ですが、「経験したことがない大規模の会場」という点は共通しています。見渡す限りに広がるサイリウムの海には、無数の人影がうごめいています。視点は常に3人称で、ライブ映像を見ているように自身の演奏を眺めています。ポジションはギタリストで、ロックもジャズもお手の物です。レスポールなのにテレキャスターみたいなカッティングも可能です。妄想の世界では何でもありなのです。

一緒に演奏するメンバーは、仲の良い友人たちです。現実の彼らは楽器が弾けませんが、僕の妄想にかかれば飛んだり跳ねたりしながら完璧に演奏できます。ボーカル+ギターは歌いながらリフが弾けますし、キーボーディストの腕は8本くらいあります。他にも30分アニメのオープニングみたいな演出でプロモーション・ビデオを撮ったり、ミニドラマを作ったりもしました。すべて頭の中の出来事です。

この手の妄想を昔はよくしていたのですが、最近は滅多にしなくなりました。妄想するまでもなく、ギタリストとしてステージに立つようになったからでしょう(参考『レスポールに身体が慣れてきた』)。妄想の中で一緒に演奏していた友人が、実際に大きなステージで活躍しているのも原因かもしれません。悲しいけれど、友人が減ったのも理由の1つです。



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夢から覚めれば夢が終わるように、妄想が現実になれば妄想も消えるのかもしれません。解散することはないと思っていた妄想バンドでしたが、今ではすっかり活動休止中です。リアルは充実しています。それなのに、少しだけ寂しく感じるのは何故でしょう。

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