僕は不器用で、大抵のことが人並みにできません。「長所は?」と訊ねられても、「妻が美人」と答えていました。よくよく考えてみればこれは妻の長所です。相対的に見ればドラムが叩ける方かもしれません。
○こわいもの知らず
そんな中、「これは長所なのでは」と思えるものが1つ見つかりました。ホラー耐性です。国内外、さまざまなホラー映画を見ましたが、恐いどころか笑いをこらえるのに必死でした。「もともとそんなに恐い作品じゃなかったのか」とも思いましたが、あの鬼の首を取って並べているような妻が終始、画面から目を背けているのですから、世間的に見ても恐い作品なのでは、と分析しています。
○敵を知る
僕にホラー耐性がついている原因は主に2つあって、1つは「ホラーゲームの経験値が多い」ということ。ホラーゲームが好きというより、ホラーゲームに付随する謎解き要素が好きなんです。どうしてホラーゲームに謎解き要素が付随するかというと、謎を考えさせることでプレイヤーを油断させ、ホラー演出を効果的にするためです。映画のホラー演出もゲームと同じで、視聴者が油断したところを刺す、というのが常套手段になっています。刺されるところが分かれば刃は避けられます。
○背後を見る
もう1つは「作り手の視点で見ている」です。映画はフィクションであり、作り物です。恐ろしい風貌の化け物や幽霊の背後には、カメラや照明、音声、モニター、そして多くのスタッフがいます。恐怖するよりも「どんな気持ちで撮ってるんやろうな」という興味が勝るのです。井戸から登場するビデオテープの幽霊は、目元をアップにしたシーンが有名ですが、あれはまつ毛を抜いた男性スタッフだそうです。その話を聞いて以来、僕はあのシーンがギャグにしか思えなくなりました。笑いを堪えるとは、こういうことです。
ホラー映画を見て恐がると心臓に負担がかかるでしょうから、ホラー耐性は健康に良いです。そういう意味では長所ですが、本来の楽しみ方はできなくなっているため、短所になるかもしれません。